雪国 vol.21
この土地の新しい慣習に目覚めた。餅まき。上棟式のたびに行なわれる餅まきは、豆まきに似ている。
昔は節分の日に近所のあちこちの家で、子供たちにお菓子をまいてくれた。たいていは素朴なあめ玉、時々紙に包んだ五円玉があって大喜びした。今よりずっと深い雪に埋まっていた数カ月、まだまだ遠い春を感じる最初の楽しい行事だった。
餅まきは豆まきより楽しい。大人がお菓子を拾っていいのだから。紅白の餅が天に舞い、それに子供のように両手を差し出す大人たち。ものすごく素朴で、ものすごく楽しい。そしてみんな笑っている。
豆まきが大人も交えて復活すると面白そう。